ミックさんこの記事では、ポメラニアンの猿期がひどい!いつまで続くのか?その原因と対策について書いているワン!
初めてポメラニアンの子犬を迎えた方の多くが、生後数ヶ月で訪れる「ある変化」に驚かされます。
「うちの子、顔の毛が抜けて猿みたいになってしまった」「想像していたポメラニアンと違う」「毛がスカスカで地肌が見えているけれど病気じゃないか」と。
このように不安になり、インターネットで検索してしまう飼い主さんは本当に多いんです。
実は、私自身も初代ポメラニアンを迎えたときは、いつまでこの状態が続くのか分からず、動物病院へ駆け込んだ経験があります。
しかし、この時期特有の見た目は、成長過程における一時的なものであり、愛犬が大人へと成長している証拠でもあるのです。
- 猿期が続く期間とピーク時期の目安
- 病的な脱毛と正常な換毛の見分け方
- 顔タイプによる見た目の変化の違い
- スカスカな時期の正しいケア方法
- 絶対にやってはいけないNG行動


- ポメラニアン飼育歴15年
- 平成2年4月より保護犬と生活
- 先代犬はペットショップで購入のポメラニアン
- ミックさんはかなりのビビり
- 歯石取り、去勢、避妊、膝蓋骨脱臼、股関節脱臼などを経験


- ポメラニアン飼育歴15年
- 平成2年4月より保護犬と生活
- 先代犬はペットショップで購入のポメラニアン
- ミックさんはかなりのビビり
- 歯石取り、去勢、避妊、膝蓋骨脱臼、股関節脱臼などを経験
ポメラニアンの猿期がひどい原因とその期間


あんなにモコモコだった子犬が、急激に毛が抜けて別犬のようになってしまうと、ショックを受けるのも無理はありません。
しかし、これは「猿期」と呼ばれるポメラニアン特有の成長イベントなんです。
そこで、ここでは、なぜそんなにひどく抜けるのか、そしていつ頃元のフワフワに戻るのかについて詳しく解説していきます。
猿期はいつからいつまで続く?
ポメラニアンの猿期が始まる時期や終わる時期には個体差がありますが、多くの飼い主さんが経験する一般的なタイムラインについて、私の15年の飼育経験と多くのポメ友さんたちからの情報を基に詳しく解説しますね。
まず、猿期の兆候が見え始めるのは、一般的に生後3ヶ月から4ヶ月頃になります。
お家にお迎えして環境に慣れ、ちょうど2回目や3回目のワクチン接種が終わって「さあ、お散歩デビューだ!」と意気込む時期と重なることが多いですね。
最初は「なんとなくマズル(鼻先)の毛が薄くなったかな?」と感じる程度ですが、そこから換毛は加速します。
そして、最も見た目の変化が激しく、多くの飼い主さんが「ひどい」とショックを受けてしまうピークは、生後4ヶ月から7ヶ月頃に訪れます。
この時期のポメラニアンは、顔の中心部の毛が抜け落ちて、目の周りと額の毛の境界線がくっきりとした「ハート型」や「歌舞伎の隈取り」のような模様になり、これがいわゆる「猿顔」の正体なんです。
また、顔だけでなく、体全体のアンダーコートもごっそりと抜け落ちるため、ボリュームダウンが著しくなります。
お風呂に入れた時のような、濡れてペシャンコになった姿が乾いている時でも続くようなイメージですね。
特に、太ももや脇腹あたりは地肌が透けてピンク色に見えることも珍しくありません。
「あんなにコロコロしていたのに、こんなに痩せてしまって…」と心配になるのもこの時期の特徴です。
しかし、安心してください。この「ひどい」状態はずっと続くわけではありません。
生後8ヶ月を過ぎる頃から、背中の中心線あたりに、今までとは違う少し硬くて艶のある新しい毛が生えてきていることに気づくはずです。
これが、大人の毛(アダルトコート)です。そこからは回復期に入り、徐々に顔周りの毛も生え揃い始めます。
そこで、最終的に、1歳前後で立派なポメラニアンの姿へと変貌を遂げる子がほとんどなんです。
1歳の誕生日を迎える頃には、猿期の貧相な姿が嘘のように、ゴージャスなフルコートになっていますよ。
ただし、これにもかなり個体差があり、完全に毛が出揃うまでに1歳半〜2歳くらいまでかかる「のんびり屋さん」もいます。
周りの子と比べて遅くても、その子のペースで成長していますので、焦らず見守ってあげてくださいね。
毛が抜けてスカスカになる理由
「病気でもないのに、なぜここまでスカスカになってしまうの?」という疑問を持つ方も多いでしょう。
その理由を深く理解するためには、ポメラニアンの被毛構造と、この時期に体の中で起きているダイナミックな変化を知る必要があります。
まず、ポメラニアンは、北方スピッツ系の犬種特有の「ダブルコート(二層構造)」という被毛を持っています。
ダブルコートの役割
- オーバーコート(上毛):太くて硬い直毛。紫外線や雨、外部の刺激から皮膚を守る役割。
- アンダーコート(下毛):細くて柔らかい綿毛。体温を逃さないための保温層としての役割。
生まれたばかりの子犬は、全身が柔らかく密度の高い「パピーコート」で覆われています。
そして、このパピーコートは、ほぼアンダーコートに近い性質を持っており、体温調節が未熟な子犬を守るためにびっしりと生えています。
しかし、成犬になるにつれて、より過酷な環境にも耐えられるよう、硬くて丈夫な「アダルトコート」へと全て生え変わる必要があるのです。
また、ここで問題になるのが、「抜けるスピード」と「生えるスピード」のタイムラグ(時間差)です。
生後3〜4ヶ月頃に性ホルモンの分泌などが始まると、パピーコートは役目を終えて一斉に抜け始めます。
この「抜ける」スイッチが入る勢いは凄まじく、毎日ブラッシングしても追いつかないほど大量の毛が抜けるのです。
その一方で、新しく作られるアダルトコートは、しっかりとした太い毛であるため、成長に時間がかかります。
つまり、「パピーコートが猛スピードで抜けていくのに、アダルトコートの成長が追いついていない」という空白期間が生まれてしまうのです。
そこで、これが、地肌が見えるほどスカスカになってしまう「猿期」の正体です。
決して栄養不足や病気ではなく、体が「大人の服」に着替えている最中の、ほんの一瞬の「着替え中」の状態だと思ってくださいね。
キツネ顔は猿期が目立ちやすい


ポメラニアンの顔立ちには、大きく分けて2つのタイプがあることはご存知でしょうか?
マズル(鼻)が短く詰まっていて童顔な「タヌキ顔」と、マズルがシュッとしていてスタイリッシュな「キツネ顔」です。
実は、どちらのタイプであるかによって、猿期の見た目のインパクトや「ひどさ」の感じ方が大きく異なるんです。
そして、私の長年の観察経験から言うと、キツネ顔の子の方が猿期の変化がより顕著で、飼い主さんが受けるショックが大きい傾向にあります。
なぜなら、キツネ顔の子は元々マズルが長いため、鼻周りの毛が抜けてしまうと、その長さがより一層強調されてしまうからです。
また、顔の中心の毛がなくなることで、マズルの骨格が露わになり、まるで小さなキツネや、あるいはミニチュアピンシャーのような、非常にシャープで野性味あふれる顔立ちになります。
「ポメラニアンというより、別の犬種になってしまったのでは?」と不安になる飼い主さんの多くは、このキツネ顔タイプの子を飼っていることが多いですね。
| 顔タイプ | 特徴 | 猿期の印象 |
|---|---|---|
| キツネ顔 | マズルが長い、耳が大きい | 顔が急に伸びたように見え、変化が激しい。 野性的な印象になる。 |
| タヌキ顔 | マズルが短い、ストップが深い | 毛が抜けても顔の丸みが残りやすい。 「小熊」のような愛らしさが残る。 |
逆に、タヌキ顔の子は、骨格的にマズルが短いため、毛が抜けても顔全体の丸いシルエットがある程度維持されます。
そのため、「猿」というよりは「小熊」のような、ちょっとユニークで可愛い見た目に留まることが多く、そこまで悲壮感漂う姿にはなりにくいようです。
「うちの子は猿期がなかった」という飼い主さんがいますが、それは変化が目立ちにくいタヌキ顔だったか、あるいは毛量が元々爆発的に多い「爆毛」タイプの子だった可能性が高いですね。
どちらにせよ、キツネ顔の子が猿期を経て大人になると、非常に凛々しく優雅な「美人さん」になることが多いので、今の姿を悲観する必要は全くありませんよ。
猿期における体重の変化と成長
猿期で毛が抜けてボリュームダウンすると、急に愛犬がガリガリに痩せ細ってしまったように見えて、心配になることがよくあります。
「ご飯の量が足りていないのかな?」「どこか具合が悪いのかな?」と不安になり、フードの量を増やそうとする飼い主さんもいらっしゃいます。
しかし、ここで重要なのは「見た目」と「実際の体重」を分けて考えることです。
猿期のポメラニアンは、毛が抜けて体のラインが露わになるだけでなく、骨格が急成長して手足が伸びる時期とも重なります。
人間で言うところの、中学生男子が急に身長が伸びてヒョロヒョロになる時期と同じようなものなんです。
また、毛による「かさ増し」がなくなり、手足が伸びて胴体が細長く見えるため、どうしてもひょろ長くアンバランスな体型に見えてしまいます。
これを業界用語(?)で「バンビ期」などと呼ぶこともありますが、体重計に乗せてみて、体重が順調に増えていれば全く問題ありません。
しかし、見た目が痩せているからといって、無闇にフードやおやつを増やしすぎると、骨格形成期に肥満を招き、関節に負担をかけてしまう恐れがあります。
そのため、獣医師に適正体重を確認しながら、成長曲線に沿った食事管理を心がけましょう。
成犬になれば毛量は復活する?
毎日抜け続ける大量の毛を見ていると、「このままハゲてしまって、二度と毛が生えてこないんじゃないか…」という恐怖に襲われることがあるかもしれませんね。
特に、初めてポメラニアンを飼う方にとって、その不安は計り知れないものだと思います。
ですが、結論から言うと、ほとんどの子は間違いなく復活します。
しかも、パピーの頃よりもゴージャスで、美しく、機能的な被毛になりますので安心してください。
そして、猿期を終えて新しく生えてくる大人の毛(オーバーコート)は、パピーコートよりも一本一本が太く、張りがあり、美しい光沢を持っています。
この毛が生え揃うことで、ポメラニアン特有の、歩くたびにファサファサと揺れる優雅なシルエットが完成するのです。
ちなみに、私の先代犬ポメラニアンも、猿期のピーク時は本当に貧相で、散歩中に「何の犬種ですか?」と聞かれることもしばしばありました(笑)。
尻尾の毛なんて数本しか残っていないような「ネズミのしっぽ」状態でしたが、1歳半になる頃には見事なフルコートになりましたよ。
また、性別によっても完成までの期間が異なるんです。
一般的に男の子(オス)の方が、女の子(メス)よりも毛量が豊かになる傾向がありますが、その分、完全に生え揃うまでに時間がかかります。
オス犬の場合、ライオンのような立派なタテガミ(ラフ)や、お尻の飾り毛が完成して、本当の意味で「仕上がる」までには、3〜4歳くらいまでかかる「晩成型」のケースも珍しくありません。
そのため、「1歳を過ぎたのにまだ毛が薄い…」と嘆いている飼い主さん、諦めるのはまだ早いです。
ポメラニアンの被毛は、数年単位でゆっくりと完成していく芸術作品のようなものです。
日々の栄養管理とケアを続けながら、長い目で愛犬の成長(変身)を楽しんでいきましょうね。



ポメラニアンの猿期がひどいと感じる主因は、毛の生え変わり速度のタイムラグです。特に生後4〜7ヶ月頃がピークで顔や体がスカスカになりますが、これは正常な成長過程。キツネ顔の子は目立ちやすいですが、1歳前後には立派な被毛が完成します。焦らず成長を見守ることが大切だワン。
ポメラニアンの猿期がひどい時の対処法


猿期は避けて通れない生理現象なので、残念ながら「猿期をなくす」ことはできません。
しかし、飼い主さんが適切なケアをしてあげることで、皮膚トラブルを防ぎ、次に生えてくる毛をより美しく健やかにすることは可能です。
「ただ待つ」のではなく「積極的にケアして待つ」ことで、スカスカな時期もポジティブに乗り切ることができますよ。
アロペシアXと猿期の見分け方
「猿期だと思っていたら病気だった」という事態を防ぐために、最も注意しなければならないのが「アロペシアX(脱毛症X)」との鑑別です。
このアロペシアXは、ポメラニアンに非常に多く見られる原因不明の脱毛症で、別名「ポメラニアン脱毛症」や「毛周期停止」とも呼ばれています。
成長ホルモンや性ホルモンのアンバランスが関与していると言われていますが、明確な原因は未だ解明されていません。
また、通常の猿期とアロペシアXは、どちらも「毛が抜ける」という点では同じですが、よく観察すると明確な違いがあります。
そこで、以下のポイントをチェックして、愛犬の状態と照らし合わせてみてください。
| チェック項目 | 正常な猿期(生理的換毛) | アロペシアX(病的脱毛)の疑い |
|---|---|---|
| 発症時期 | 生後3ヶ月〜8ヶ月頃(パピー期限定) | 1歳〜4歳頃に発症することが多い ※パピー期からそのまま移行するケースもあり |
| 脱毛の分布 | 顔面や体全体が薄くなるが、まばらなことが多い | 体の中心線に対して左右対称に抜けるのが特徴。 頭部と四肢の先端だけ毛が残ることが多い。 |
| 皮膚の状態 | 健康的なピンク色で、弾力がある | 黒ずんで色素沈着(ハイパーピグメンテーション)が見られる。 皮膚が乾燥して薄くなる。 |
| 痒み(かゆみ) | 全くない | 通常はない(※痒みがある場合は膿皮症やアレルギーの可能性大) |
もし、愛犬の地肌が「黒っぽく変色している」場合や、「1歳半〜2歳を過ぎても全く毛が生えてくる気配がない(産毛すら生えない)」場合は、単なる猿期ではなくアロペシアXや甲状腺機能低下症などの内分泌疾患の疑いがあります。
この場合、早期発見と適切な治療(投薬やサプリメント、スキンケアなど)が、その後の被毛の回復に大きく影響します。
そこで、ポメラニアンの毛並みが「おかしいな?」と思ったら、自己判断せずに専門家である獣医師に相談してください。
動物病院で、皮膚の状態をマイクロスコープで診てもらったり、血液検査でホルモン値を測定してもらうことで、正確な診断がつきます。
「ただの換毛期だろう」と放置してしまい、治療のタイミングを逃すことがないようにしましょう。
バリカンやトリミングの注意点
猿期で毛がスカスカになり、まばらに長い毛が残っている状態を見ると、「見栄えが悪いから、いっそサマーカットにしてスッキリ整えたい」という誘惑に駆られることがあります。
また、トリミングサロンで「短くしますか?」と聞かれて、ついお願いしてしまうこともあるかもしれません。
しかし、声を大にして言わせてください。この時期のポメラニアンへのバリカン使用は、絶対にNGです。
これは、私が最も強く警告したいポイントの一つなんです。
ポメラニアンのようなダブルコートの犬種は、毛根のサイクルが非常にデリケートです。
猿期や換毛期といった毛周期が活発に動いている時期に、バリカンで機械的に短く刈り込んでしまうと、毛根が休止期に入ったまま目覚めなくなってしまうリスクがあります。
ちなみに、これを「バリカン後脱毛症(Post-Clipping Alopecia)」と呼びます。
これは、バリカンをかけた部分だけ毛が生えてこなくなったり、生えてきても毛質が変わってパサパサの綿毛のようになってしまう症状です。
そして、一度なってしまうと、元の美しいコートに戻るまでに数年かかることもあれば、一生そのままになってしまうこともあります。
もちろん、「柴犬カット」や「タヌキカット」は確かに可愛いですが、それは被毛が完全に完成した成犬になってから、ハサミ仕上げ(シザーリング)で検討すべきスタイルです。
猿期の不揃いな毛は、見た目は悪くても、直射日光や外部の刺激からデリケートな子犬の皮膚を守るための「最後の砦」として機能しています。
そこで、もしどうしても飛び出している毛が気になって仕方がない場合は、トリマーさんに相談して「ハサミで飛び出ている部分を整える程度」に留めてもらってください。
「バリカンは使わないでください」と明確に伝える勇気を持つことが、愛犬の将来の美しい被毛を守ることに繋がりますよ。
ブラッシングで発毛を促すコツ
「こんなに毛が少ないのに、ブラシをかけたら残っている毛まで抜けてハゲてしまうのではないか…」
そう心配して、猿期の間はブラッシングを控えてしまう飼い主さんが非常に多いのですが、実はこれは大きな間違いなんです。
むしろ、スカスカな時期こそ、適切なブラッシングが不可欠になります。
なぜなら、抜け落ちるべき死毛(アンダーコート)が肌の表面に留まっていると、通気性が悪くなり、皮膚が蒸れて雑菌が繁殖しやすくなるからです。
また、死毛が毛穴を塞いでしまうことで、新しく生えてこようとしている健康な毛の成長を妨げてしまう可能性もあります。
さらに、ブラッシングには単に毛を整えるだけでなく、「皮膚のマッサージ効果」という重要な役割があります。
優しく皮膚を刺激することで血行が良くなり、毛根に栄養が行き渡りやすくなるため、結果として発毛を促進する効果が期待できるのです。
猿期におすすめのブラシと使い方
- シリコンブラシ・ラバーブラシ:
毛が薄い時期に金属製のスリッカーブラシを使うと、地肌を傷つけてしまう恐れがあります。ゴム製の柔らかいブラシなら、皮膚を傷つけずにマッサージ効果を得られます。 - 獣毛ブラシ(豚毛・猪毛):
皮膚に適度な刺激を与えつつ、被毛に艶を出してくれます。 - ブラッシングスプレー:
乾燥は大敵です。必ず保湿効果のあるスプレーを使ってからブラシをかけ、静電気と摩擦を防ぎましょう。
ポイントは、「毛をとかす」というよりも「地肌を優しくマッサージしてあげる」という意識で行うことです。
愛犬が気持ちよさそうにしているなら、それは正しいケアができている証拠になりますから。
毎日のコミュニケーションとして、優しくブラッシングを続けてあげてくださいね。


ドッグフードで被毛の栄養補給


「毛はタンパク質でできている」ということをご存知でしょうか?
ポメラニアンの被毛の主成分である「ケラチン」はタンパク質から作られます。
つまり、体の中から美しい毛を作るためには、毎日の食事で良質なタンパク質を十分に摂取させることが何よりも重要なんです。
そして、猿期の時期は、被毛の生え変わりだけでなく、骨格や筋肉、内臓も急激に成長する時期です。
体は食べた栄養を優先的に「生命維持に必要な器官」へと送ります。
もし栄養が不足していると、命に関わりの薄い「被毛」への栄養供給は後回しにされてしまい、パサパサの毛になったり、発毛が遅れたりしてしまうのです。
そのため、この時期はまだ成犬用フードに切り替えず、栄養価が高く高タンパクな「パピー用(子犬用)」のフードをしっかりと与え続けてください。
「見た目が大きくなったから」「太り気味だから」といって、自己判断で早々にダイエットフードや低カロリーな成犬用フードに切り替えてしまうと、美しい被毛を作るための材料が不足してしまいます。
また、皮膚のバリア機能を高め、被毛に艶を与える栄養素として、オメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸といった「必須脂肪酸」の摂取も効果的ですよ。
それと、いつものフードに、犬用のサーモンオイルや亜麻仁油を数滴垂らしてあげるのもおすすめです。
これは、皮膚の乾燥を防ぎ、発毛環境を整えるサポートをしてくれます。
もちろん、どのような栄養素がどれくらい必要かは、その子の体質や活動量によって異なります。
ちなみに、環境省が発行しているガイドラインでも、ライフステージに合わせた適切な栄養管理の重要性が説かれていますよ。
(出典:環境省『飼い主のためのペットフード・ガイドライン』)
散歩では服を着せて肌を守る
普段は「犬に服なんて…」と思っている方も、猿期の間だけは洋服を着せることを強くおすすめしますよ。
本来、ポメラニアンの皮膚は分厚いダブルコートに守られていることを前提とした構造をしており、他の短毛種に比べて皮膚が薄くデリケートなんです。
そのため、猿期で毛がスカスカになり、地肌が露出している状態で外に出るということは、人間で言えば裸で真夏のビーチにいるようなものですよ。
そして、直射日光に含まれる紫外線(UV)は、皮膚の細胞にダメージを与え、乾燥や炎症を引き起こします。
皮膚の状態が悪化すると、毛母細胞にも悪影響が及び、健康な発毛を阻害してしまう可能性があるのです。
また、草むらに入った際に、草や枝で直接皮膚を傷つけてしまったり、虫に刺されやすくなったりするリスクもあります。
| 猿期におすすめのウェア素材 | メリット |
|---|---|
| メッシュ素材 | 通気性が良く、蒸れにくい。夏場の散歩に最適。 |
| 接触冷感・UVカット素材 | 紫外線を防ぎつつ、体温の上昇を抑えてくれる。 |
| パイル地・コットン | 肌触りが優しく、皮膚への刺激が少ない。 |
さらに、洋服を着せることには「飼い主さんの心のケア」というメリットもあります。
散歩中に通りがかりの人から「あれ?皮膚病かしら?」「毛が抜けてるけど大丈夫?」と心無い言葉をかけられ、傷ついてしまう飼い主さんは少なくありません。
そこで、可愛いお洋服を着せてあげることで、貧相に見える体型をカバーでき、余計な心配をされずに楽しくお散歩ができるようになりますよ。



猿期がひどい時の対処法は、まず病気との鑑別が重要です。皮膚が健康なら、絶対にバリカンは使わず、優しくブラッシングをして血行を促進しましょう。また、高タンパクな食事で材料を補給し、散歩中は服で紫外線を防ぐことが重要です。正しいケアが、将来の美しい被毛を作るワン。
よくある質問(FAQ)
最後に、ポメラニアンの猿期に関して、SNSやコミュニティでよく目にする質問とその回答をまとめました。不安な時の参考にしてください。
Q1. 猿期がひどすぎて病気じゃないか心配です。
地肌が見えても、痒みがなく皮膚がピンク色なら正常な換毛の可能性が高いです。ただし、皮膚が黒ずんでいる、左右対称に脱毛している、1歳を過ぎても生えない場合は、何らかの疾患の可能性があるため獣医師に相談してくださいね。
Q2. うちの子はいつ頃フワフワに戻りますか?
個体差がありますが、一般的に生後8ヶ月頃から大人の毛が生え始め、1歳前後で生え揃うことが多いです。オスや晩成型の子は3〜4歳まで毛量が増え続けることもありますので、焦らず成長を見守りましょう。
Q3. 尻尾の毛まで抜けてネズミみたいですが大丈夫?
いわゆる「ラットテール」と呼ばれる状態で、猿期のポメラニアンにはよく見られる現象ですね。生理的な換毛であれば、体の被毛と同様に成長とともにフサフサの尻尾に戻りますので過度な心配はいりませんよ。
まとめ:ポメラニアンの猿期がひどいのは一時的なもの
ここまで、ポメラニアンの「猿期」について、その原因や期間、ケア方法までを詳しく解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
愛犬の毛がみるみる抜けていく姿を見るのは、飼い主としてとても不安で、時にはショックを受けることかと思います。
「私の育て方が悪いんじゃないか」「このまま生えてこなかったらどうしよう」と悩んでしまう気持ち、痛いほどよく分かりますよ。
しかし、猿期はポメラニアンが「大人の階段」を登っている立派な成長の証なんです。
あのフワフワでゴージャスなフルコートは、この厳しい換毛期を乗り越えた子だけが手に入れられる勲章のようなもの。
そして、見方を変えれば、一生のうちでほんの数ヶ月しか見られない、ある意味でとてもレアで貴重な「ブサイク期(愛嬌期)」なのです。
また、「いつか生えてくる」と信じて、日々のブラッシングや栄養管理、紫外線対策など、飼い主としてできるサポートを楽しみながら続けていきましょう。
そこで、もし皮膚の様子に少しでも違和感があれば、遠慮なく獣医師に相談してくださいね。
あなたの愛犬が、猿期を無事に卒業し、美しい被毛をなびかせて走る姿が見られる日を、私も心から応援していますよ。



ポメラニアンの猿期がひどい状態は、大人の階段を登る貴重な成長の証なんです。飼い主としては不安になりますが、この時期だけのユニークな姿を愛し、写真に残しておきましょう。正しいケアを続ければ必ずフワフワに戻りますよ。愛犬の変身を信じて、愛情を持ってサポートしてあげるワン。
※本記事の内容は、一般的な飼育データや長年の経験に基づいた情報です。しかし、犬の成長や健康状態には個体差があります。個体ごとの正確な診断や健康管理については、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。

