ポメラニアンのオレンジへの変化！子犬の黒い毛が消える時期と見分け方

ポメラニアンのオレンジは成長に伴う変化が非常に大きいカラーであることをご存じでしょうか？

子犬の頃は口元や背中が黒っぽかったのにいつの間にか鮮やかなオレンジになったり逆にウルフセーブルのように黒い毛が残ったりと個体差も大きいです。

また、明るく活発な性格も相まって人気の毛色ですが猿期と呼ばれる時期を経てどのように成犬の被毛へと変わっていくのか不安に思う飼い主さんも多いと思います。

そこで、この記事では私の経験をもとにポメラニアンのオレンジに関する色の変化について詳しくお話ししますね。

ポメラニアンのオレンジ毛色への変化過程

ポメラニアンのオレンジは、生まれた瞬間から完成された色ではありません。

まるで生き物のように、成長ステージに合わせてダイナミックに変化していきます。

そこで、ここでは、誰もが通る「変化の道筋」について解説しますね。

子犬期の黒い毛はいつ消えるのか

オレンジやオレンジセーブルの子犬をお迎えしたばかりの飼い主さんから最も多く聞かれるのが、「この黒い毛はいつ消えるの？」という質問です。

実際、ペットショップやブリーダーサイトで見る子犬の写真は、マズル（口周り）が真っ黒で、体全体にも黒い差し毛が混ざっていることが多いですよね。

いわゆる「泥棒顔」なんて愛称で呼ばれることもありますが、これは一時的なもので、多くの場合は成長とともに劇的に変化しますよ。

また、この変化は「クリアリング」と呼ばれ、黒い差し毛（ガードヘア）が抜け落ち、根元から明るいオレンジ色の毛が生えてくる現象を指します。

一般的には、生後2〜3ヶ月頃から徐々に黒い毛が抜け始め、生後半年を迎える頃には顔周りの黒さがほとんど消えていることが多いんです。

ただし、個体差は非常に大きく、1歳を過ぎてようやく黒い毛が抜けきる子もいれば、数ヶ月であっという間にオレンジ一色になる子もいます。

そのため、「うちの子、まだ黒いけど大丈夫かな？」と焦る必要はありませんよ。

日々のブラッシングで抜けた黒い毛を見つけたら、「大人の階段を登っているんだな」と温かく見守ってあげてくださいね。

猿期の変化はいつから始まり終わる？

ポメラニアンの成長過程で避けて通れないのが、通称「猿期（さるき）」と呼ばれる換毛期です。

この時期は、ポメラニアンの飼い主にとって、愛犬の見た目が劇的に（そして少しコミカルに）変わる、一生に一度の忘れられない期間となります。

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通常、生後3ヶ月から6ヶ月頃になると、子犬特有のフワフワした産毛（ラヌーゴ）が抜け落ち、大人の硬い毛（ガードヘア）へと生え変わり始めます。

不思議なことに、顔の中心部の毛が先行して抜け落ち、おでこと顔周りの毛だけが残るため、輪郭が強調されてまるでお猿さんのような顔つきに見えるんですよね。

そして、体の方もアンダーコートがごっそりと抜けてスカスカになり、地肌が見えそうになることもあります。

そのため、初めてこの時期を迎える飼い主さんは「病気で毛が抜けたのでは？」「皮膚病じゃないかしら」と不安になって動物病院に駆け込むこともあるほどですが、これは健全な成長の証なんです。

また、この時期に大切なのは、こまめなブラッシングになります。

古い毛を丁寧に取り除いてあげることで、皮膚の血行が良くなり、新しく生えてくる大人の美しいオレンジ色の毛の成長を助けることができますよ。

それと、猿期が終わる1歳頃には、見違えるほどゴージャスな被毛になりますので、この時期特有のユニークな可愛さをぜひ写真に残しておいてくださいね。

ウルフセーブルとオレンジの違い

「ウルフセーブル」と「オレンジセーブル」は、子犬の頃の見た目が非常に似ており、プロのブリーダーでも見分けるのが難しい場合があります。

どちらもベースとなる色に黒い差し毛が入っているためですが、成長後の仕上がりには大きな違いがあるのです。

まず、オレンジセーブルは、成長とともに黒い毛（セーブル）が抜け落ちていき、最終的には明るいオレンジ色が主体となります。

もし、黒い毛が残ったとしても、背中や尻尾の先にアクセントとして残る程度ですね。

その一方、ウルフセーブルは、「ウルフ（狼）」の名が示す通り、成犬になっても毛先やアンダーコートに灰色や黒色が強く残ります。

特に、アンダーコートの色を見ると違いが分かりやすく、オレンジセーブルのアンダーコートはクリームや薄いオレンジ色であるのに対し、ウルフセーブルはグレーがかっていることが多いんです。

また、血統書上は「オレンジ」と記載されていても、成長してみたら黒い毛が思ったより抜けきらず、「実はウルフセーブルに近い表現型だった」というケースも稀にあります。

これは、遺伝子の不思議な組み合わせによるもので、その子の個性として受け入れてあげましょう。

どちらのカラーも、単色にはない深みと野性味が魅力なんですから。

ポメラニアンのオレンジの性格特徴

毛色による性格の違いに科学的な根拠は明確ではありませんが、長年多くのポメラニアンを見てきたブリーダーや愛好家の間では、「オレンジの子はポメラニアンらしい性格をしている」とよく言われますね。

具体的には、非常に明るく活発で、好奇心旺盛な子が多い印象なんです。

そして、飼い主さんに対する愛情表現が豊かで、嬉しいときは全身を使って喜びを表現します。

その反面、自己主張もしっかりするため、気に入らないことがあるとキャンキャンと吠えたり、要求を通そうとしたりする「気の強さ」も持ち合わせています。

まさに、スピッツ族の血を引く番犬のような気質と、愛玩犬としての甘えん坊な一面が同居しているのがオレンジの特徴と言えるでしょう。

また、ホワイトやブラックの子が比較的おっとりしていると言われるのに対し、オレンジの子は常に動き回っているような元気なイメージです。

一緒に遊ぶのが大好きで、ドッグランでも他の犬に物怖じせず挨拶に行くような外交的な性格の子が多いので、アクティブに愛犬と過ごしたい方にはぴったりのパートナーになるはずですよ。

将来の色は耳の後ろで予測できる

「今はこの子、真っ黒だけど、将来どんなオレンジ色になるんだろう？」と気になりますよね？

実は、成犬時の毛色をかなり高い確率で予測できるチェックポイントがあり、それが「耳の後ろ」の毛色です。

ポメラニアンの体毛は、成長とともに何度も生え変わりますが、耳の後ろの毛は、比較的早い段階で成犬時のベースカラーに近い色が現れると言われています。

そのため、たとえ全身が黒っぽい差し毛で覆われていても、耳の後ろの毛をそっとかき分けて見てみてください。

根本の方に明るいクリーム色や、濃く鮮やかなオレンジ色が見えていれば、将来的にその色が全身に広がり、黒い毛は抜けていく可能性が非常に高いです。

これとは逆で、耳の後ろまで黒や濃い褐色である場合は、成犬になってもセーブル（黒い差し毛）が強く残るタイプか、かなり濃いレッド寄りのオレンジになる可能性があります。

これは、お迎え前のチェックや、我が子の成長予測として、ぜひ確認してみてくださいね。

ポメラニアンのオレンジへの変化とケア

成犬になって色が定着した後も、環境や加齢、そしてケアの方法によって毛色は変化し続けますよ。

そこで、ここでは、美しいオレンジを維持するためのポイントや注意点をお話しします。

オレンジセーブルの黒毛は残る？

「オレンジセーブル」というカラーは、その名の通りオレンジをベースに黒い毛（セーブル）が混ざった色です。

そこで、多くの飼い主さんが「この黒い毛は完全に消えるの？」と疑問に思いますが、結論から言うと「完全には消えないことが多い」のが特徴です。

そして、子犬の頃の全体的な黒さはなくなりますが、成犬になっても背中の中央ラインや、尻尾の先端、耳の縁などに黒い差し毛が残るケースがよく見られます。

この黒の入り方は遺伝的に決定されているため、シャンプーやブラッシングで消すことはできません。

しかし、この黒い毛があることで、単色のオレンジにはない立体感や陰影が生まれ、光の当たり方によって表情が変わる深みのある美しさを醸し出します。

また、換毛期にはアンダーコートが抜けることで黒い差し毛（オーバーコート）が目立ち、色が濃くなったように見えることもあります。

季節による色の変化を楽しめるのも、セーブルならではの特権なんです。

「黒い毛が残ってしまった」と残念がるのではなく、その子だけの「オンリーワンの模様」として愛してあげてください。

ちなみに、我が家の先代ポメラニアンのポンタくんですが、毛色はオレンジセーブルでした。

我が家に来た時には、ほぼ全身真っ黒でしたが、年齢を重ねるごとに徐々に黒の部分は少なくなりました。

ただ、完全には黒い部分が無くならず、ある程度は残りましたね。

でも、これは個性だと思ったので、特に気になることは無かったですね。

以下、あるし日のポンタくんです。

老犬になると色が薄くなる退色理由

7歳を超えてシニア期に入ると、昔のような鮮やかなオレンジ色が少しあせてきた、全体的に色が薄くなってきたと感じることがあるかもしれません。

これは、人間が白髪になるのと同様に、加齢によりメラニン色素を作る「メラノサイト」という細胞の働きが弱まることによる自然な「退色」現象なんです。

特に、顕著に表れるのが顔周りで、マズル（口元）や目の周り、眉毛の部分が白っぽくなってきますよ。

これを私たちは親しみを込めて「白髪」や「ベビーフェイス化」と呼びますが、顔が白くなることで目元の黒さが際立ち、子犬のような優しくあどけない表情に見えることもあります。

また、シニア犬は皮膚の水分保持能力が低下するため、被毛が乾燥してパサつきやすくなるんです。

潤いを失った毛は光を乱反射し、白っぽく見える原因にもなりますね。

ただ、退色は止めることはできませんが、保湿ケアや抗酸化成分を含む食事を与えることで、進行を緩やかにし、艶のある美しい毛を維持することは可能です。

バリカン使用による毛質の変化リスク

夏の暑さ対策や、お手入れの手軽さから「サマーカット」や「柴犬カット」など、ポメラニアンをバリカンで短くカットするスタイルも人気ですが、オレンジの美しい毛色を守りたい場合は細心の注意が必要です。

それは、ポメラニアンのようなダブルコートの犬種にバリカンを入れると、毛包が休止期に入ってしまい、再び毛が生えてこなくなる、あるいは毛質が劇的に変わってしまうリスクがあるためです。

そして、一度毛質が変わってしまうと、元の艶やかなオレンジ色に戻すのは非常に困難です。

生えてきたとしても、綿毛のようなパサパサした毛質になったり、色がくすんでまだらになったりすることがあります。

これは、硬いガードヘアよりも柔らかいアンダーコートの方が成長が早いため、毛の構成バランスが崩れてしまうことが原因の一つと考えられているのです。

そのため、トリミングサロンでカットをオーダーする際は、バリカンを使用せず、ハサミだけで仕上げる「オールシザー」をお願いしましょう。

皮膚に近い部分まで短くしすぎず、ある程度の長さを残すことで、毛包へのダメージを最小限に抑えることができますよ。

涙やけによる顔周りの変色と対策

鮮やかなオレンジ色のポメラニアンで、特に目立ってしまう悩みが、目の下が赤茶色く変色する「涙やけ（ティアバーン）」です。

せっかくの可愛いお顔が、涙の跡で台無しになってしまうと悲しいですよね。

そして、涙やけの原因ですが、涙に含まれる成分が空気や紫外線に触れて酸化すること、あるいは濡れた状態が続くことで雑菌が繁殖し、被毛を変色させてしまうことにあります。

一度赤茶色に染まってしまった毛は、洗っても元の色には戻りません。

そのため、変色した部分をカットして、新しく生えてくる毛を綺麗に保つしか方法がないのです。

そこで、対策としては、こまめに涙を拭き取って目の周りを常に清潔・乾燥した状態に保つことが最重要です。

また、涙の量や質は食事にも大きく影響されるため、消化の悪いフードや、添加物の多いオヤツを控えるだけで、涙のベタつきが改善され、涙やけが驚くほど良くなるケースも多々あります。

鼻涙管（涙の通り道）のマッサージも効果的ですので、日々のケアに取り入れてみてください。

毛色維持に効果的な食事と栄養素

「被毛は健康のバロメーター」と言われるように、毛の色や艶は、愛犬が毎日食べている食事から作られます。

そのため、色が薄くなってきた、艶がなくなってきたと感じたら、シャンプーを変える前に、食事の内容を見直してみることを強くおすすめします。

特に、黒や茶色のメラニン色素を作り出すためには、「チロシン」や「フェニルアラニン」といったアミノ酸が必要なんです。

また、これらのアミノ酸を色素に変換する酵素の働きを助ける「銅」などのミネラルも欠かせません。

これらが不足すると、遺伝的には濃いオレンジになるはずの子でも、色がぼやけたり、赤茶けたり（レッドヘア症候群）することがあります。

そこで、良質な動物性タンパク質（鶏肉、牛肉、魚など）を主原料としたプレミアムフードを選び、必要に応じてサーモンオイルなどのサプリメントでオメガ3脂肪酸を補給してあげましょう。

オメガ3脂肪酸は、皮膚の健康を保ち、被毛に美しい艶を与えてくれるため、結果として毛色が鮮やかに見えるようになりますよ。

栄養素	期待できる効果	多く含む食材
チロシン	メラニン色素の直接的な原料となる	鶏肉、チーズ、大豆製品、カツオ節
フェニルアラニン	体内でチロシンに変換される必須アミノ酸	肉類全般、魚類、卵、乳製品
オメガ3脂肪酸	皮膚の炎症を抑え、毛に艶を出し発色を良くする	サーモン、亜麻仁油、フィッシュオイル
銅（Copper）	チロシンをメラニンに変える酵素の働きを助ける	レバー、納豆、カシューナッツ、魚介類

よくある質問（FAQ）

最後に、ポメラニアンのオレンジの変化について、飼い主さんからよく寄せられる質問をまとめました。不安な点はここで解消しておきましょう。

Q1. 季節によって鼻の色が変わるのは異常ですか？

いわゆる「ウィンターノーズ（スノーノーズ）」と呼ばれる現象の可能性があります。冬場の日照時間不足や気温低下により、鼻のメラニン色素生成が一時的に低下し、鼻の黒色が薄くなりピンクや茶色っぽくなることがありますが、これは生理的な変化であり健康上の問題ではありません。春になって暖かくなり、日光を浴びる機会が増えると、自然に元の黒色に戻ることが多いです。

Q2. 胸にある白い斑点は成長すると消えますか？

胸や足先に見られる小さな白い斑点（ミスカラー）は、成長に伴い周囲のオレンジ色の毛が伸びて覆いかぶさることで、目立たなくなることはよくあります。しかし、白い毛そのものが完全にオレンジ色に変化して消失することは稀です。これは遺伝的な色素の配置によるものなので、病気や欠陥ではありません。「天使の拇印」とも呼ばれる個性の一つとして、ポジティブに受け入れてあげてください。

Q3. 泥棒のような口周りの黒さは取れますか？

子犬期に見られる口周りの黒い泥棒のような模様（ブラックマスク）は、多くの個体で成長とともに色が抜け、明るいクリームやオレンジ色に変化します。これを「クリアリング」と言います。ただし、セーブルの因子が強い個体や、マズルが元々黒っぽい系統の血筋の場合は、成犬になっても薄く黒色が残る場合もあります。その場合も、成長とともにグラデーションのように馴染んでいくので、あまり心配する必要はありません。

まとめ：ポメラニアンのオレンジ変化の総括

ポメラニアンのオレンジは、子犬期の「クリアリング」、成長期の「猿期」、そしてシニア期の「退色」と、一生を通じて変化し続ける、まさに「生きている色彩」です。

「色が薄くなった」「黒い毛が残った」と一喜一憂することもあるかもしれませんが、その変化一つひとつが、愛犬があなたと共に時間を重ねてきた証でもあります。

そして、子犬の頃の泥棒顔も、猿期のユニークな姿も、シニア期の優しい白顔も、すべてがその時だけの特別な宝物なんです。

バリカンなどの人為的なダメージには注意しつつ、毎日の食事やケアでその子が持つ本来の輝きを引き出してあげてください。

どんな色になっても、我が子の可愛さは変わりませんから。

※本記事の内容は、一般的な飼育データや長年の経験に基づいた情報です。しかし、犬の成長や健康状態には個体差があります。個体ごとの正確な診断や健康管理については、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。