ミックさんこの記事では、保護犬を返したいという後悔と罪悪感を解消する手続きと心の整え方について書いているワン!
田舎で愛犬とのんびり暮らしていますが、新しい家族を迎えるときのドキドキ感と、その後のバタバタの大変さは何度経験しても慣れないものです。
そして、せっかく里親になったのに、実際に生活が始まってみたら想像以上に大変で、保護犬を返したいという思いが頭をよぎり、深い後悔や罪悪感に苛まれている方も少なくないはずです。
もっとも、それは決してあなた一人の責任ではなく、レスキューブルーや育犬ノイローゼと呼ばれる、多くの飼い主さんが直面する心理的な壁かもしれません。
そこで、この記事では、手続きの方法や返還の理由の整理、と今の辛い状況を乗り越えるためのヒントを、私の経験を交えてお話ししますね。
- レスキューブルーによる心理的負担の正体
- トライアル期間と正式譲渡後の手続きの違い
- しつけや行動診療にかかる具体的な費用目安
- 団体へ連絡する際の誠実な伝え方と例文
- 犬と飼い主双方が幸せになるための考え方


- ポメラニアン飼育歴15年
- 平成2年4月より保護犬と生活
- 先代犬はペットショップで購入のポメラニアン
- ミックさんはかなりのビビり
- 歯石取り、去勢、避妊、膝蓋骨脱臼、股関節脱臼などを経験


- ポメラニアン飼育歴15年
- 平成2年4月より保護犬と生活
- 先代犬はペットショップで購入のポメラニアン
- ミックさんはかなりのビビり
- 歯石取り、去勢、避妊、膝蓋骨脱臼、股関節脱臼などを経験
保護犬を返したいと悩む人が知るべき心の仕組み


保護犬を迎える決断をした方の多くは、非常に責任感が強く、愛情深い方々です。
だからこそ「返したい」と思ってしまう自分を責めてしまうのですが、まずはその心理背景を客観的に見つめ直すことから始めましょう。
心が限界を迎える前に、仕組みを知ることが大切なんです。
レスキューブルーという急激な後悔の正体
新しい犬を家族に迎えた直後、急激な不安や落ち込み、あるいは強い後悔の念に襲われる現象を「レスキューブルー(Rescue Blues)」と呼びます。
これは、出産後のマタニティブルーとよく似ており、生活環境が劇的に変化したことによる適応障害に近い状態と言えるかもしれません。
特に、田舎でのんびり過ごしていた生活リズムが、犬の吠え声や排泄トラブル、24時間体制のケアによって完全に崩れてしまうと、誰でもパニックに近い感情を抱くものです。
そして、私の周りの愛犬家仲間でも、迎えて数日は「本当にやっていけるのか」と泣きながら過ごしたという話は珍しくありません。
実は、保護犬の譲渡後に飼い主が感じるこのストレスは学術的にも研究されており、譲渡の失敗率は統計上7〜20%程度存在するというデータもあります。
つまり、あなたが今感じている「逃げ出したい」という感情は、特別なことではなく多くの里親さんが通る可能性のある道なんです。
そのため、自分を冷酷な人間だと決めつける必要は全くありませんよ。
育犬ノイローゼを回避するための相談先
「このままでは自分が壊れてしまう」と感じたとき、真っ先にすべきことは一人で抱え込まないことです。
育犬ノイローゼの状態にあるときは、冷静な判断力が失われがちなので、そんな時は第三者の視点を入れることが一番の特効薬になります。
そして、最近では「Sippoful」のように、犬のしつけだけでなく飼い主さんのメンタルケアを専門に行う電話相談サービスも増えてきました。
そのため、まずは専門家に今の辛い状況をありのまま話すことで、気持ちの整理がつくはずです。
また、地域のドッグトレーナーさんや動物病院の先生も心強い味方です。
特に、ポメラニアンのような活発な犬種の場合、運動量や遊び方の工夫一つで問題行動が落ち着き、飼い主さんの負担が激減することもあります。
それと、行政の動物愛護センターなどでも、飼育相談を受け付けている場合があります。
今の苦しみを「自分の努力不足」で片付けず、プロの知恵を借りることを「責任ある行動」だと考えてみてくださいね。
里親としての責任とトライアル中止の判断


多くの保護団体では、正式譲渡の前に必ず「トライアル期間」を設けています。
そして、この期間の本来の目的は、単に犬が環境に慣れるのを見守るだけでは無いのです。
「人間側の生活と犬の性質が本当にマッチしているか」を厳密にテストすることにあります。
したがって、トライアル期間中に「どうしても継続が難しい」と判断し中止を申し出ることは、契約違反でも無責任でもなく、システムとして想定されている正当なプロセスなんです。
そして、無理をして正式譲渡に進み、数年後に飼育放棄をしてしまう方が、犬にとっても人間にとっても不幸な結果を招きます。
つまり、トライアル中止という決断は、犬の将来を真剣に考えた結果として、勇気ある判断だと私は思います。
先住犬との相性や家族のアレルギー、自身の精神状態などを考慮し、このままでは犬を幸せにできないと感じたならば、早めに団体へバトンを戻すこと。
これこそが、その子が新しい運命の里親さんに出会うための最短ルートになるかもしれません。
正式譲渡後の手続きと所有権放棄の注意点
正式譲渡の契約書に署名捺印し、所有権があなたに移った後に「返したい」となった場合は、トライアル中止よりも複雑な手続きが必要になります。
その場合には、まず譲渡契約書を必ず読み返してください。
ほとんどの団体では「飼育困難な場合の第三者譲渡・転売・遺棄の禁止」および「元の団体への返還義務」が明記されています。
これは、犬が二度と放浪したり、不適切な飼い主に渡ったりしないための安全装置なんです。
そして、手続きとしては、改めて「所有権放棄」の合意書を作成し、犬を団体へ戻す形となります。
この際、法的なトラブルを避けるためにも、独断で親戚や友人に譲ることは避けてくださいね。
また、たとえ正式譲渡後であっても、誠実に事情を説明すれば、多くの団体は犬の福祉を最優先に考えて相談に乗ってくれます。
もっとも、所有権が移っている以上、責任は重くなります。
しかし、法的なルールを遵守した上で、犬の命を繋ぐための最善策を団体と共に探ることが、飼い主としての最後の大きな責任になりますよ。
アレルギー発症などやむを得ない返還の理由
どんなに愛情があっても、物理的に飼育が不可能になる事態は起こり得ます。
その代表例が、家族に重度の犬アレルギーが発覚した場合です。
特に、子供が激しく咳き込んだり、アナフィラキシーに近い症状が出たりすれば、これはもう精神論では解決できません。
また、飼い主さん自身の急病や入院などで、散歩や食事といった基本的なケアが物理的に行えなくなることもあります。
そして、これらは「努力」で解決できる範囲を超えた不可抗力なんです。
そのため、こうした理由で返還を検討する場合、自分を責めてノイローゼを悪化させる必要はありません。
むしろ、自身の健康が損なわれた状態で無理に飼育を続けることは、結果として犬に対するネグレクト(飼育放棄)に繋がりかねない危険な状態です。
また、客観的な医師の診断や公的な証明がある場合は、団体側もスムーズに受け入れを承諾してくれるケースがほとんどです。
そのため、まずは事実を冷静に受け止め、自分と家族、そして犬の安全を第一に考えた決断を下すことが重要です。



迎えた直後の強い不安や後悔は「レスキューブルー」と呼ばれる正常な心理反応です。ですので、自分を冷酷だと責める必要はありませんよ。まずは心の仕組みを理解し、一人で抱え込まず専門家に相談することで、冷静な判断力を取り戻すことが大切。現状を客観視するんだワン。
保護犬を返したい場合に取るべき行動と解決のヒント


「返還」を最終的な着地点とするにせよ、まずは現状を改善できる可能性がないかを探ることも、後悔しないためには必要です。
そこで、ここでは、具体的な対策と実際に返還する際の手順を深掘りしていきましょう。
噛む行為や分離不安を改善させるしつけのコツ
里親さんが最も心を折られやすいのが、犬の激しい攻撃性や分離不安です。
保護犬は、過去のトラウマから、新しい飼い主を信頼するまでに時間がかかることがあります。
そして、噛み癖については、それが「恐怖心」からくるものなのか「要求」からくるものなのかを見極める必要があるのです。
無理に叱りつけたり、力で押さえ込もうとすると、犬はさらに自分を守るために攻撃的になってしまいます。
そのため、まずはサークルなどで安全な距離を保ち、犬が「ここは安心できる場所だ」と認識するまで待つ忍耐が求められます。
また、分離不安による破壊活動や吠えに関しては、いきなり長時間留守番させるのではなく、数秒から数分の「姿を隠す練習」を繰り返すなど、スモールステップでのトレーニングが必要です。
ただ、これらを手探りで進めるのは精神的にも体力的にも限界があります。
そこでもし、しつけに悩んでいるなら、プロのアドバイスを一度受けてみるだけで、今の絶望的な状況に一筋の光が見えるかもしれません。
行動診療科やドッグトレーナーにかかる費用
しつけを改善するためにプロに頼む場合、現実的な問題として「費用」の壁があります。
もっとも、「お金をかければ治る」とは言い切れませんが、専門的な治療や訓練には相応の出費が伴います。
また、経済的な限界は、飼育継続を断念する際の正当な理由の一つにもなり得ますので、一般的な相場を把握しておきましょう。
| サービス種別 | 内容の詳細 | 料金の目安(税込) |
|---|---|---|
| 獣医行動診療科(初診) | 専門医による診断・投薬・カウンセリング | 15,000円〜25,000円 |
| 出張トレーニング(1回) | ドッグトレーナーによる自宅訪問・実地指導 | 6,000円〜10,000円 |
| 預託トレーニング(1ヶ月) | 施設に預けて集中訓練(合宿形式) | 200,000円〜350,000円 |
| パピークラス・教室(1回) | グループレッスンでの社会化促進 | 4,000円〜6,000円 |
ちなみに、料金は地域や施設により大きく異なります。
特に重度の問題行動を治療する場合、継続的な通院や数ヶ月単位の合宿が必要になり、合計で50万円を超えることも珍しくありません。
そのため、正確な見積もりは、信頼できる専門機関へ直接お問い合わせください。
団体への連絡に使える理由別のメール例文


返還の決意を固めたら、早急に保護団体へ連絡を入れる必要があります。
ただ、電話は緊張するという方は、まずはメールで事実関係を伝えるのが良いでしょう。
その際、単に「無理です」と送るのではなく、これまでの感謝と、どれほど悩み、どんな努力をしたかを丁寧に記すことで、団体側とのトラブルを防ぐことができます。
【メール例文の構成イメージ】
- 冒頭:譲渡いただいたことへの感謝。
- 現状の報告:「噛みつきがひどく家族が怪我をした」「重度のアレルギーが出た」など具体的に。
- 対策の実施状況:「トレーナーに相談したが改善の見込みが薄いと言われた」など。
- 結論:これ以上犬にストレスを与え、生活を維持するのは困難であるという判断。
- 結び:犬の将来を第一に考え、返還をお願いしたい旨。
それと、例文をそのまま使うのではなく、ご自身の言葉で今の「辛い現実」を伝えてください。
誠意を持って伝えれば、ほとんどの保護団体は一方的に責めるようなことはしません。
むしろ、犬が不幸になる前に正直に話してくれたことを、動物愛護の観点から尊重してくれるはずですよ。
ブラックリスト登録を避ける誠実な対応
一度保護犬を返還すると「ブラックリストに載り、二度と保護犬を迎えられなくなるのでは?」と不安になる方は多いです。
確かに、あまりにも無責任な理由(旅行に行けなくなる、思っていたより可愛くない等)で返還を繰り返せば、要注意人物としてマークされる可能性はあります。
しかし、アレルギーや深刻な生活破綻など、止むを得ない事情で、かつ誠実に対応した場合はその限りではありません。
そして、信頼関係を保つためには、最後まで逃げずに対応することが大切です。
返還時の譲渡費用が戻らないことを了承し、犬が次の里親を見つけるまでのサポート金を申し出るなど、団体側の負担を考慮した姿勢を見せれば、それは「悪質な飼育放棄」とはみなされません。
つまり、誠実な対応こそが、あなた自身の未来と、その子の未来を守る唯一の方法なんです。
また、環境省の統計によれば、譲渡後のマッチング不全は一定数避けられないものとして認識されており、過度に恐れる必要はありません
(出典:環境省『犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに譲渡等の状況』)。



返還を決める前に、しつけの工夫やプロの介入といった選択肢を検討しましょう。費用面や手続きのルールを把握し、団体へは誠実な態度で事実を伝えることが重要ですよ。また、ルールを守った対応こそが、将来の信頼関係と犬の安全を守るための鍵となるワン。
よくある質問(FAQ)
保護犬を返したいという切実な悩みを抱える方から寄せられる、よくある質問とその回答をまとめました。孤独に悩むあなたの一助になれば幸いです。
Q1:他の団体から再び譲渡を受けられますか?
理由によりますが、誠実に対応した上での返還であれば、将来的に別の犬を迎えることは可能です。ただし、団体間での情報共有が行われることもあるため、新しい団体に申し込む際は、過去の返還経験を隠さず正直に話すことが絶対条件です。隠し事は後で必ずトラブルになりますし、正直に話すことで、よりあなたに合った性質の犬を提案してもらえる可能性も高まりますから。
Q2:返還時に返金や違約金は発生しますか?
一般的に、譲渡時に支払った「譲渡協力金」や「医療費実費」は返金されません。これは、その費用がすでにその子のケアや他の保護活動に使われているためです。また、団体によっては、返還後の再譲渡までの飼育費や事務手数料として、追加の寄付や違約金の支払いを求める規定がある場合もあります。そのため、まずは手元の誓約書を確認し、団体と誠意を持って協議してください。
Q3:性格の不一致を理由に返しても良いですか?
性格の不一致は、非常に大きなストレス要因であり、返還を検討する正当な理由になり得ます。人間同士でも合う・合わないがあるように、犬と人間にも相性はあります。そのため、無理に我慢して犬に対して冷たくなったり、家庭内が殺伐としてしまったりするくらいなら、早期にリセットする方がお互いのためです。ただし、連絡の際は「単に気に入らない」ではなく、どのような行動が合わないのかを具体的に説明するようにしましょう。
まとめ:保護犬を返したい決断は犬の幸せを守る選択肢の一つ
「保護犬を返したい」という決断を下すことは、決してあなたの敗北ではありません。
むしろ、その子と自分の限界を冷静に見極め、これ以上お互いが傷つかないための「愛ある英断」と言える側面もあるんです。
あなたが、今感じているその罪悪感は、犬を一つの命として真剣に尊重しているからこそ生まれるものです。
また、保護犬の譲渡における最終的な目的は、人と犬の双方が幸せに暮らすことにあります。
片方がボロボロになり、生活が破綻している状態では、動物愛護の理念からも外れてしまうのです。
そのため、一度立ち止まり、リセットすることは、その犬が本来出会うべき「完璧にマッチした家庭」へバトンを繋ぐ行為にもなりますよ。
そこで、まずは自分を追い詰めすぎず、まずは深呼吸をして、信頼できる人に相談することから始めてみませんか?
あなたの誠実な決断が、いつか必ず良い結果に繋がることを、私は心から信じています。



「返還」は決して無責任な逃げではなく、犬と人間双方がボロボロになるのを防ぐための愛ある英断なんです。そのため、自分を追い詰めすぎず、より適切な環境へバトンを繋ぐ行為だと捉え直してください。この決断が、いつか関わる全ての人と犬の幸せに繋がると信じているワン。
※この記事の内容は一般的な目安であり、最終的な判断や具体的な手続きについては、必ず譲渡を受けた保護団体や、弁護士・獣医師などの専門家にご相談ください。

